登場したのはグレッグ・アーウィンさん。
全く知らない人でしたが、見ているうちにだんだん引き込まれ・・・その歌声を聴いたときにはもう感動してしまいました。
55歳とのことですが、来日して25年目になるそう。シンガーソングライター、司会や声優も務めているそうで、日本の「童謡」は歌詞の深さや季節の歌などがお気に入りとのことです。
ブログでプロフィールを見てみると
日本の童謡・唱歌を自らの視点で英訳し、100曲以上を手がけている。日本各地でコンサート等の活動を行う他、テレビ・ラジオ・声優・司会など幅広く活動を行っている。日本童謡協会『童謡文化賞』を受賞。現在発売中のCD「Gentle Heart」Akua Musicより、では多くの人の心の中に癒しと感動を与える。舞台「お江戸でござる」「のど自慢」に出演。また中学校副読本2(道徳)に本人が英訳した「紅葉」が掲載された。現在、武田ランダムハウスジャパンからCD付絵本「グレッグ・アーウィンの英語で歌う、日本の童謡」が好評発売中。
グレッグさんと童謡との出会いは、日本で歌手の活動をするうち「童謡の英訳」を頼まれたのがきっかけだそうです。
出身地のアメリカ、ウィスコンシン州は四季がある気候や土地柄が日本に似ていて、そういった環境で育ったことが抒情的な日本の歌を理解するのに役に立っているのでは、と番組では伝えていました。
お気に入りの「愛燦燦」の他、「雨降り」「故郷」などの英語版を披露していましたが何といっても秀逸は「赤とんぼ」。
聴いていて涙が出そうになるくらい感動的でした。
本人も歌っているときに歌の世界にのめり込んでいるみたいで、歌い終わった時、「涙が出そう」とつぶやいたのが印象的でした。
「赤とんぼ」
夕焼け小焼けの赤とんぼ
負われて見たのは、いつの日か
山の畑の、桑(くわ)の実を
小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか
十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き
お里のたよりも、絶えはてた
夕焼小焼の赤とんぼ
とまっているよ 竿の先
(三木露風作詞・山田耕筰作曲)
この歌詞がグレッグさんにかかるとこうなります。
Dragonflies as red as sunset
Back when I was young
In twillight skies, there on her back I'd ride
When the day was done
Mountain fields in later Novemver
Long ago it seems
Mulberry trees and treasures we would gather
Was it only just a dream?
Just fifteen she went away one day
Married then so young
Like a sister lost, I loved and missed her
Letters never seemed to come
(4番省略)
「赤とんぼ」は英語で「red dragonfly」と訳せるからいいとしても、「夕焼け小焼け」はどう訳したらいいのか。ずいぶんと悩んだ末、「赤とんぼ」を「赤い夕焼け色をしたとんぼ」(Dragonflies as red as sunset)として表現することを考えついたその感性には感心させられます。
また、グレッグさんにとってのねえやは、子供の頃大好きだったベビーシッターだった。そのベビーシッターに対する思慕の気持を持ち続けていることで、日本のねえや(実の姉ではなく、幼少児に子守をしていた女性)に対しての気持が理解できると言います。
しかし「ベビーシッター」では字数が合わないため、「Like a sister lost」と訳したとのことでした。
日本を愛し、童謡をここまで愛するグレッグさんにすっかり魅せられてしまいました。声だけでなく誠実な人柄も魅力的。ということで、いっぺんにグレッグさんのファンになりました。
そうなると他の歌も聴きたくなります。
ありました、ありました!!
では、ご紹介させていただきますね。
「故郷」
「さくらさくら」
「ペチカ」
「少年時代」
「島唄」
「愛燦々」
最後に、竹内まりやさんの「駅」を載せて終わります。この歌、実はグレッグさんが歌っているのをYou Tube で見て初めて知りました。(^^ゞ
いい歌・・・・・・
it seems that i remember
that raincoat that you wore
as we await the evening train
my heart starts beating faster
that look so warm and tender
so who else could it be
except the one that i used to love
that someone who still loves me
we sit by different windows
and watch the world go by
though that was just two years ago
we changed more than we'll ever know
so pretending we don't notice
we go our different ways
back home where someone waits for
確かに日本語独特の抒情性とか繊細な情感を表す言葉を英語で完全に伝えるのは難しいでしょうね。
最終的には意訳となる段階でどれだけ訳者が内容を感じとり、備え持っている語彙力で伝えてくれるかにかかっている訳で、原文からズレていたりするのは彼の日本語力の限界による部分もあるのかも知れません。
が、それは彼自身の個性であったり感じ方の現れともいえるのでは。またその内容を理解し共感したいという姿勢、意欲に関しては素晴らしいし、日本人でも気づかない日本の良さについて逆に教えられる点もあるのではないかと思っています。