2011年10月15日

自分の余命 娘に言うべきか

10月12日の読売新聞、【人生案内】には感動しました。まるで小説を読んだような気分。タイトルは「自分の余命 娘に言うべきか」

そう、ある父と娘の人生の一面を垣間見たような、まさにノンフィクション。

回答者の野村先生の言葉も人間味にあふれていて感動的でした。

 60代無職男性。妻と別れてから、高校1年生の娘と2人で生活しています。私の病気のことを娘に伝えるかどうか、悩んでいます。

 私はがんが転移し、主治医から先日、余命宣告を受けました。私の弟などはそこに同席して説明を聞きましたが、娘はこの事実を知りません。

 娘は私の病気については承知しており、「家事は一切しなくていいから、私が大学に行くまでは元気に生きてほしい」と言います。その度につらくなります。

 いっそ全てを告白して、娘にしっかりと現実を受け止めてもらいたい。そう思う一方で、父親っ子として育ってきた娘の気持ちが一気に崩れはしないかとも悩みます。生活保護を受けるほどの苦しい生活で、娘には服の1着も買ってやれませんでした。これ以上、娘に気苦労をさせていいものかと考えてしまいます。(大阪・Y男)


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 涙で目が曇り、不覚にもこの手紙を最後まで読み通すことが困難でした。あなたの娘さんに対する深い愛情、2人で一生懸命に生きて来られた人生が胸に迫ったからです。あなたは娘さんに洋服を買ってあげることはできなかったかもしれませんが、愛の人生を確かにプレゼントした。それがありありと伝わります。

 そしてあなたの迷いも、娘さんへの深い思いゆえです。これはあなた自身の口から伝えるのがつらいとしたら、主治医から、あるいは弟さんにも立ち会ってもらって、娘さんに現実を話すべきだと思います。もちろんつらく悲しい宣告ですが、いつか分かるとしたら、あなたとの人生をより大切な思いで生きる時間が欲しかったと娘さんは考えるのではないかと思えるからです。

 もちろん、余命宣告があったからといって、治療技術は進歩していますから、延命する可能性だってゼロということはないでしょう。その希望的な話も含めて伝えることです。そして、しっかり強く生きることを話し合うのはもちろんですが、娘さんの今後のことは行政やご親戚によくよく頼み、後顧の憂いを断つこと、これがあなたの最後の大切な仕事なのかもしれません。

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 (野村 総一郎・精神科医)



このお父さんの悩み。自分が余命宣告されたことより、娘が受ける悲しみ、苦労を想うことから生じているんですよね。何もしてやれなかったと娘を不憫に思う気持ちからとても深い情愛を感じます。

回答者の野村先生も述べている通り、「娘さんに洋服を買ってあげることはできなかったかもしれませんが、愛の人生を確かにプレゼントした」というのはその通りだと思います。

それでなければ娘さんが「家事は一切しなくていいから、私が大学に行くまでは元気に生きてほしい」なんて言ってくれるわけがない。


野村先生のこの回答を読んだお父さんはどうしただろうか、と想像してしまう。たぶん、野村先生の勧めに従って主治医から伝えてもらったのではないだろうか。

その主治医が野村先生のような方であれば、きっと何とか受け止めてくれたに違いないと期待を込めた想像をしている。

あるいは娘さんも本当はお父さんの病状については薄々感づいていたのではないかという気もする。


この日の人生案内のように、この欄は様々な人間の生きざま、人間模様に触れることのできるノンフィクション小説のようだと感じる。また回答者の回答にもいつも感心させられる。

いつも質問者からの質問を読んだ後ちょっとの間、自分ならどう回答するか考えるんだけど、大した人生経験を積んでいないせい?か、なかなか名答が思い浮かばない。

その後回答を読むと、なるほどなあとか、うーーむと感心させられる。それで自分も人生のお勉強を一緒にさせてもらっているという感じ。



でもこの日は満員の通勤電車の中で読んでいて、野村先生ではないけど思わず涙が出てきて困りました。お父さんと娘さん、厳しい現実の壁をどうか乗り越えてほしい。







posted by 酔ing(すいんぐ) at 23:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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